こんにちは。 施設ケアマネや介護職の方への情報発信をしているカメフクです。
「最近の新人は、何を考えているか分からない」
「聞きに来ないから大丈夫だと思っていたら、全然分かっていなかった」
「丁寧に教えているつもりなのに、なぜか成長しない」
そう感じたことはありませんか。
新人が「聞きに来ない」とき、その原因は新人側だけにあるわけではありません。
指導者の関わり方が、意図せず「聞けない環境」を作り出していることがあります。
指導者であるあなた自身も、 日々の業務に追われ、
「教える時間なんてない」と感じるのが本音かもしれません。
実は、先に「聞きやすい環境」を作っておくことは、
後々のトラブル対応や教え直しの時間を減らし、
結果としてあなた自身の負担を軽くすることに繋がります。
この記事では、新人が聞きに来なくなる2つの典型パターンと、
指導者として今日からできる関わり方の工夫をお伝えします。
新人が聞きに来ないのは「指導の失敗」ではない
まず、大切なことをお伝えします。
新人が聞きに来ないからといって、あなたの指導が間違っていたわけではありません。
丁寧に教えた。声もかけた。「いつでも聞いてね」と伝えた。
それでも聞きに来ない。
この状況は、指導の内容ではなく、指導の「構造」が生み出していることが多いのです。
新人が聞けなくなるパターンには、大きく2つあります。
どちらも、指導者が善意で関わった結果として起きやすいものです。
落とし穴①「大事にしすぎ」が生む心理的負荷(丁寧型)
何が起きているか
丁寧な指導体制が整っている職場ほど、起きやすいパターンです。
手順を一つひとつ教えた。
「失敗していいよ」と声をかけた。
新人も「ありがとうございます」と言って、メモを取っていた。
ところが、ある日気づく。
新人が全然聞きに来ない。
何度か様子を見ていると、分からないまま業務を進めている場面が目に入る。
「なぜ聞かないんだろう」
新人には何が起きているか
新人の内側では、こんなことが起きています。
丁寧に教えてもらったからこそ、「もう一度聞く」ことへのハードルが上がっている。
「あれだけ教えてもらったのに、まだ分からないのか」と思われたくない。
「また聞いてきた」と感じさせたくない。
「失敗していいよ」と言われた。
でも、教えてもらった手前、失敗したらへこむ。
そして、もう一度聞くのは、さらにへこむことになる。
優しさへの恩義が、「聞けない」という心理的壁を作ってしまっているのです。
指導者が優しければ優しいほど、この構造は起きやすくなります。
指導者としてできること
工夫①「聞いてくれた方が助かる」を具体的に伝える
「いつでも聞いてね」という言葉は、
新人には「いつでも(迷惑をかけて)いいよ」と聞こえ、
かえって遠慮させてしまうことがあります。
それよりも、
「今のうちに不明点を潰しておくことが、利用者様の安全を守ることになる」
「確認してくれると、私たちもケアを振り返ることになるから助かるよ」
と、「チームへの貢献」「ケアの質向上」に繋がることを伝えましょう。
「聞く」ではなく「一緒に確認する」という表現に変えるだけで、
新人が感じている「聞く」ことへのハードルが下がります。
工夫② 指導者側から「声かけの頻度」を増やす
新人が聞きに来るのを待つのではなく、指導者から声をかける習慣を作ります。
「今日の◯◯の場面、うまくいった?」
「さっきの排泄介助、何か気になることあった?」
テーマを絞った短い声かけは、
新人にとって「聞いていい場」を作ることになります。
「聞く」という行動を、新人に一人でさせない工夫です。
工夫③ 「失敗した話」を指導者から先にする
新人が「失敗していいよ」という言葉を本当に受け取れるのは、
指導者自身が失敗の話をしてくれたときです。
「私も最初、◯◯が分からなくて、同じ場面で迷ったことがあった」
こういった一言が、新人の「聞いてもいいんだ」という気持ちを引き出します。
落とし穴②「放置しすぎ」が生む根拠なき実務(放置型)
何が起きているか
人手不足の現場でよく起きるパターンです。
入職して数週間。新人がなんとなく業務をこなせるようになってきた。
「もう大丈夫そうだね」と感じて、少しずつ任せるようになった。
頼りにされた新人は、嬉しそうに動いている。
ところが数ヶ月後、利用者への説明場面で新人が詰まっている。
記録を見ると、根拠のない記述が目につく。
手順は覚えた。
でも、「なぜそうするか」は身についていなかった。
新人には何が起きているか
新人の内側では、こんなサイクルが回っています。
「あれ、やっといて」と任される。
人手不足の中で役に立っている。こなせる。嬉しい。
でも、なぜそうするのかは分からないまま。
聞きたいけど、「今さら聞くの?」という空気を感じる。
「できる人」と思われているのに、基本的なことを聞いたら、がっかりされる?
こうして、聞くタイミングをじわじわと失っていきます。
放置型の職場では、指導を受ける機会そのものが少ないため、
自己流の知識と技術が積み重なっていきます。
指導者としてできること
工夫① 「なぜ」を一緒に言語化する時間を作る
業務を任せるとき、手順だけでなく「なぜそうするか」をセットで伝えます。
「この体位変換は、◯◯の理由でこうしているんだよ」
「この記録の書き方は、後で見返したときに◯◯が分かるようにするためだよ」
1回の業務で1つ、根拠を添えるだけでも積み重なります。
工夫② 定期的に「振り返りの場」を作る
週に1回、5分でもいい。
「最近の業務で、分からないことや気になったことはあった?」
という問いかけを定期的に行うことで、
新人が「聞く機会」を構造的に確保できます。
新人に自発的な質問を求めるだけでなく、
聞ける場を指導者が作ることが重要です。
工夫③ 記録をチェックして「理解度」を把握する
新人の記録は、知識の穴が見えやすい場所です。
「なぜこのケアをしたのか」が書けていない記録は、
根拠を理解していないサインである可能性があります。
記録を指導の材料として使うことで、新人が聞けなくても、
指導者側から「ここ、一緒に確認しよう」と声をかけるきっかけになります。
記録指導のヒントはこちらもご参照ください。
2つの落とし穴に共通すること
丁寧型も放置型も、根っこにある構造は同じです。
新人が「聞く」という行動を、一人で起こさなければならない状態になっている。
聞くことは、新人にとって小さな勇気が必要な行動です。
その勇気を毎回一人で出し続けるのは、思いのほか消耗します。
指導者の役割は、その勇気のハードルを下げ続けることです。
「聞きに来ない新人」を変えようとするより、
「聞きやすい環境」を作る方が、結果として成長に繋がります。
まとめ|指導者は「聞かれ待ち」をやめてみよう
新人が聞きに来ないとき、その背景には必ず理由があります。
大事にしすぎて、聞けない。
任されすぎて、聞けない。
どちらも、新人が一生懸命仕事に向き合っている結果として起きる状態です。
指導者としてできることは、
- 指導者が伴走者として、先に声をかける
- 「なぜ」をセットで伝える習慣を作る
- 記録を指導の材料として使う
新人が「聞く」ことは、プロとして成長するための大切な一歩です。
「聞きやすい職場環境」を作ることは、新人が育つだけでなく、
不適切なケアや事故のリスクを下げ、離職防止にもつながります。
チーム全体の介護の質を守ることでもあります。
指導は100点を目指さなくて大丈夫です。
指導者が完璧であろうとするほど、
新人も「完璧に覚えなきゃ」と萎縮することもあります。
「私も余裕がないときはあるから、そんな時はメモを置いておいてね」
自分の状況をさらけ出すことも、立派な環境づくりの一つです。
もし、この記事を読んでいるあなたの職場に、
悩んでいる新人がいたら、 こちらの記事も一緒に渡してみてください。
指導者とのすれ違いが少し減れば、現場はもう少し働きやすくなります。
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