AIで施設ケアプランの原案を作ってみた|Claude・ChatGPT・Geminiを同じ事例で比べた話

施設ケアマネ
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こんにちは。施設ケアマネや介護職の方への情報発信をしているカメフクです。

施設ケアマネとして利用者さんを担当していると、課題分析から計画作成までの定型作業に、毎日かなりの時間を取られていませんか。

医療やリハビリのニーズが重なる方ほど、アセスメント項目も複雑になりがちです。

適切なケアマネジメント手法に沿って整理するのは、時間も労力もかかります。

「大切さは分かっているけれど、毎回やるのは正直しんどい」と感じることも、あるのではないでしょうか。

この記事では、その課題分析〜計画作成の原案づくりを、生成AIで補えないか実際に試してみた体験をまとめています。

しかもClaude(クロード)・ChatGPT(チャットGPT)・Gemini(ジェミニ)の3つに、まったく同じ事例を流して比べてみました。

この記事でわかること

  • 課題分析〜計画作成の「原案(たたき台)」づくりをAIで補う、具体的な仕組み
  • Claude・ChatGPT・Geminiに同じ事例を流して比べた、三者三様の持ち味
  • AIを使ううえで、いちばん大事だと感じた「一次資料に戻る」という工程
  • 個人情報を残さないための、匿名化のさじ加減

先に、いちばん大事なことを

これは「AIにケアプランを作らせる」話ではありません。

標準化でもなければ、専門職の判断を置き換えるものでもありません。

やったのは、あくまで原案(たたき台)づくりの補助です。

入力する利用者情報はすべて匿名化していますし、AIが出した原案は、最後に必ず人の目で確認します。

むしろ、その「確認する」という工程こそが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

仕組み自体はシンプルで、「指示文+適切なケアマネジメント手法(基本ケア)のPDF+アセスメントシート」の3点セットです。

これをAIに渡して、課題分析から計画の原案までを出してもらう、という流れになります。

その前提のうえで、3つのAIを使い比べた結果は、思っていた以上に三者三様でした。

まず、どんな仕組みを作ったのか

詳しい手順は長くなるので、記事の最後にある無料配布ページにまとめています。ここでは全体像だけお伝えします。

使ったのは「指示文+参照資料(適切なケアマネジメント手法)+Excelのシート(アセスメントシート)」の3点セットです。

AIのプロジェクト機能(Geminiの場合はGemという機能にあります)に、次の3つを仕込みました。

ひとつめが指示文。

AIの役割や進め方、出力フォーマット、やってはいけないことを固定しておくものです。

ここが品質の心臓部になります。

ふたつめが参照資料。適切なケアマネジメント手法の「基本ケア」の項目一覧をアップロードしておきます。

毎回、適切なケアマネジメント手法をWeb検索させるのではなく、手元の資料を見させるのが安定のコツでした。

今回はあえて、参照させる資料を適切なケアマネジメント手法のなかでも、基本ケアだけに絞りました。

読み込ませる資料が軽くてどのAIにも安定して読ませられますし、無料〜下位プランでも再現しやすいからです。

認知症や誤嚥性肺炎の予防など、その方の課題に当てはまる疾患別ケアがあるときだけ追加する、という使い方がいいかもしれません。

※「適切なケアマネジメント手法」は、国(厚生労働省)の調査研究事業として、専門職の知見を体系化したケアマネジメントの標準的な指針です。「基本ケア」と「疾患別ケア」で構成され、手引き自体に「ケアプランの標準化ではない」と明記されています。改訂される場合があるので、最新版は公式HP(日本総合研究所)でご確認ください。

みっつめがアセスメントシート。

利用者情報を記入するExcelファイルで、これだけは毎回チャットにアップロードします。

大事なのは、アセスメントシートを常駐させないこと。

個人情報を残さないために、毎回その都度アップして使い捨てる設計にしています。

氏名や生年月日は入れず、薬剤名や疾患名だけは課題分析に必要なので残す、という匿名化のさじ加減です。

それと、AIには段階を踏ませています。

まず課題分析を出してもらい、内容を確認してから「計画書を作成して」と伝えて計画書に進む、という二段構えです。

ちょっと面白かったのが、同じ「進めてください」でも、課題分析を続けるAIと、計画書まで進むAIに分かれたこと。

次に進む合図の言葉をはっきり決めておくと、どのAIでも同じ動きになりました。

「試してみたい」という方のために、この指示文とアセスメントシートのテンプレートは無料で配布しています。アセスメントシートについては課題分析標準項目や包括的自立支援プログラムを参考に作成しています。

記事の最後にリンクを置いておきますね。

同じ事例を、3つのAIに流してみた

ここからが本題です。

題材にしたのは、終末期に近く、食事摂取量が不安定になっているという匿名の事例です(※架空の事例です)。

あえて簡単ではないケースを選びました。

難しいケースほど各ツールの個性がはっきり出ると思ったからです。

なお今回は、2026年6月の時点で、3つとも各AIの標準(デフォルト)モデルを使い、参照資料は基本ケアにそろえて試しています。

結果は、本当に三者三様でした。

AI持ち味向いている場面
Claude個別性と根拠が正確。手法の項目を的確に引いてくる専門職が業務で使う計画書づくり
ChatGPT構造が明快。なぜその課題構成にしたか根拠も添える課題の構造を整理したいとき
Gemini具体的で読みやすい。シートの情報を丁寧に拾うご家族への説明資料

Claudeは、課題分析の根拠が正確で、手法の項目をきちんと引いてくる印象でした。

余計な創作をしないので、専門職がそのまま業務の下敷きにするには向いています。

ChatGPTは課題の構造が明快で、「なぜこの課題構成にしたのか」という根拠まで添えてくれるので、頭を整理したいときに重宝します。

言葉で説明するより、実際の「課題(ニーズ)」の書き出しを並べたほうが伝わるかもしれません。

Geminiは表現が具体的で読み下しやすく、シートに書いた細かい情報(食種やとろみの程度など)を丁寧に拾ってくれました。

ご家族への説明資料を作るならこれが合いそうです。

同じ事例から、3つのAIはこんなふうに書き出してきました(※架空事例の出力です)。

  • Claude:食事の量が減っているが、安全に口から食べ続け、必要な栄養を摂りたい
  • ChatGPT:食欲低下や嚥下機能低下のリスクがある状態だが、体調を維持しながら安心して食事を続けたい
  • Gemini:日常生活の多くで介助が必要な状態だが、食事を自分で食べることや車椅子に乗ることなど、今持っている能力を維持して生活したい

同じ事例でも、どこに焦点を当てるかがこれだけ違います。

Claudeは食事という的をしぼり、ChatGPTはリスクの構造から入り、Geminiは生活全体や残存能力まで視野を広げる、という具合でした。

なお、これはあくまで一例としての印象です。

実のところ、同じ事例を性能の高いモデルで試したら、結果はけっこう変わりました。気づく点も、書きぶりも違ったんです。

ですので、どのAIが何に向くかという話は、「2026年6月の、この条件での一例」として読んでください。次に試すころには、また変わっているはずです。

いちばんお伝えしたかったこと

さて、ここが冒頭で「いちばん大事」と書いた部分です。

結論を先に言います。当然のことですが、AIが出す原案は十分ではありません。元のシートに戻って確認すべき箇所がでてきます。

私がハッとしたのは、お薬の場面でした。

ある事例では、糖尿病や高血圧の既往歴がありましたが、アセスメントシートの内服薬の欄には、その薬が書かれていませんでした。

それでもあるAIは、計画のサービス内容に「糖尿病や高血圧に対応した薬を確実に与薬する」と書いてありました。

これは「嘘を書いた」というより、持病があるなら当然この薬を飲んでいるだろう、と自然に埋めてきたのかな?という感じです。

でも実際に処方があるかどうかは、シートを見るかぎりでは分かりません。もし処方されていなければ、ありもしないケアを計画に書いてしまうことになります。

一方で、別のAIは同じ場面を「コントロール状況を確認し、医師へ報告する」と、処方の有無を断定しない書き方にしていました。

同じシートを見ても、踏み込むAIと、確認にとどめるAIに分かれたわけです。

だからこそ、それらしい原案ができあがっても、一次資料(シート)に戻って、その記述に本当に裏づけがあるかを確かめる必要があります。

似たことは、ほかの場面でも起きました。

たとえば、アセスメントシートに書いておいた塩分制限6gという数値も、そのままプランに反映するAIもあれば、落とすAIもありました。

そもそも栄養の数値をプランに固定して書くのか、「栄養状態を評価し、食事内容を調整する」くらいの文言にとどめるのか。施設サービスでは、サービス内容(ケアの内容)が変化することが多いです。食事内容が変われば計画変更が要ることもあり、ここはその方の状態を見ながら人が決める部分です。

根拠としてAIが添えてくる適切なケアマネジメント手法の項目番号も、同じ資料を渡したのに、AIによって差がありました。人が行っても同じですが、アセスメントには多角的多面的な見方があるので、資料で照合するのが安心です。

一方で、ほっとしたこともあります。

生活歴や性格の欄が「不明」のままだったとき、3つとも、それらしい人物像を勝手に作り上げることはしませんでした。「情報が足りない」と正直に返してきたんです。

これは、指示文に「分からないことを推測で補わない」と最初に決めておいたのが効いていました。

まとめると、AIは下書きづくりの、とても頼れる相棒です。

でも、その記述に裏づけがあるか、その方の計画にふさわしいか、どんな文言で入れるか。そこを確かめ、選ぶのは、やはり専門職である私たちの仕事として残ります。

その個別化こそが、私たちケアマネの専門性なのだと、今回あらためて感じました。

AIに向いている作業、向いていない作業

今回試してみて、AIに任せやすい作業と、任せきれない作業の線引きが、自分のなかで少しはっきりしました。

向いていると感じたのは、こういう作業です。

  • 散らばった情報を整理すること
  • 課題分析のたたき台をつくること
  • 計画の文章の下書きをすること

逆に、これはやはり人の仕事だ、と感じたのがこちらです。

  • ご本人の意向を汲み取り、解釈すること
  • ご家族の関係性や、その場の機微を読むこと
  • 最終的に「どうするか」を判断すること

情報整理や下書きはAIが得意でも、その方らしさをどう織り込むか、ご家族とどう折り合いをつけるか、最後に何を選ぶか。

ここは、私たち専門職が引き受ける部分です。

よくある質問(Q&A)

Q. AIに利用者さんの情報を入れて大丈夫なの?

私の場合は、氏名・生年月日といった個人を特定できる情報は入れていません。

課題分析に必要な薬剤名や疾患名だけを残し、アセスメントシートはチャットに常駐させず、毎回その都度アップロードして使い捨てる設計にしています。

ひとつ気をつけたいのは、チャットを消すこと(使い捨て)と、入力した内容を学習に使わせないことは、別の話だということです。

ツールやプランによっては、消したつもりでもデータが学習に使われる場合があります。

各ツールに「学習に使わせない」設定やデータの取り扱いの説明があるので、利用前に一度確認しておくと安心です。

ただ、AIの利用規約や、お勤めの施設・法人の情報取り扱いルールは、ツールや組織によって違います。

ここは必ずご自身の環境のルールを確認したうえで、無理のない範囲で試してみてください。

Q. 無料プランでもできる?

この仕組みの肝は、指示文や参照資料を「常駐させておく」プロジェクト機能です。

それが使えるかどうか、どこまで使えるかは、ツールやプラン、時期によって変わります。

ここは料金・機能が頻繁に変わる部分なので、最新の条件は各AIの公式サイトでご確認ください(本記事は執筆時点の情報にもとづいています)。

今回のように、参照資料を基本ケアだけに絞り、各AIの標準モデルで試すなら、無料の範囲でも十分に感触はつかめます。

指示文や資料をしっかり常駐させて使い込むなら、有料プランのほうが安定します。

まずは手持ちの環境でアセスメントシートを一度流してみて、感触をつかむところから始めるのがおすすめです。

仕組みを実際に試してみたい方は、この記事の最後に無料のテンプレートを置いていますので、よければどうぞ。

まとめ:使い分けの指針と、ひとつのお願い

最後に、振り返っておきます。

  • AIは、課題分析〜計画作成の「原案(たたき台)」づくりを助けてくれる
  • 仕組みは「指示文+参照資料+記入シート」の3点。
  • 3つのAIは三者三様。ただし結果はモデルやそのときどきで変わる(2026年6月時点の一例です)
  • どれを使っても、最後に元のシートと専門知識で確認する工程は外せない
  • 最終的な課題設定も、計画の決定も、その方らしさの個別化も、専門職である私たちの仕事として残る

3つを使い比べてみて、いまの私なりの使い分けはこんな感じに落ち着きました。

専門職が業務で使う計画書の原案づくりならClaude、課題の構造そのものを整理したいときはChatGPT、ご家族への説明資料に整えるならGemini。

同じ事例でもこれだけ持ち味が分かれるので、目的に合わせて選ぶのがよさそうです。

ただ、どのAIを使うにしても、最後に必ず一次資料と専門知識で確認する工程だけは外せません。

生成AIは、とても優秀で、しかも早い、頼れる相棒です。

それでも、最後を決めて、その方らしさを織り込むのは私たちです。この感覚だけは、使いながらもずっと持っていたいと思います。

この記事を読んで仕組みを試してくださる方も、AIが出した原案をそのまま転記することだけはせずに、あくまで自分の頭で考える出発点として、上手に付き合っていただけたらと思います。

※この記事の事例はすべて架空・匿名化したものです。また、各AIの料金プランや機能の条件は時期によって変わるため、本記事は執筆時点の情報にもとづいています。


【無料配布】 この記事で使った指示文とアセスメントシートのテンプレートは、こちらから無料でダウンロードできます。試してみたい方はどうぞ。

👉 無料配布ページはこちら:指示文・アセスメントシート・セットアップ手順(すべて無料)


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